GHQ占領期間の検閲とゴジラ映画への影響

第1作の「ゴジラ」は昭和29年の作品です。

終戦から9年しか経っていない時に撮られた映画です。

日本は終戦後、GHQ(主にアメリカ)による占領期間が、ありました。

その当時は、GHQによるメディアの統制(検閲)があったと聞いています。

「ゴジラ」に限らず、戦後間もない頃、特撮映画の製作に於いて、検閲のようなものは存在したのでしょうか?

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「ゴジラ」は、終戦から9年後の作品。

小学生、中学生の方たちにとっては、9年後という年月は、はるか遠くの未来だと思いますが、40歳を過ぎた頃から、9年前なんて、「ついこのあいだ」の出来事のように感じてくるようになります。

そして、9年後なんて9年前よりも早く訪れるでしょう。

というわけで、今の私には、

戦争が終わって、たった9年後にこんな映画作っちゃったのか!(ゴジラ)

という驚きが、あります。

占領期間中の日本映画界はどうなっていた?

ところで、日本は終戦してGHQによる占領期間があったわけですが、日本の映画界は、どんなだったのでしょう。

GHQ占領期間っていつまで?

GHQによる占領期間は、

1945年9月2日から1952年4月28日までの7年間。

です。

「ゴジラ」は1954年(昭和29年)公開ですから、公開の2年ちょっと前まで、日本は占領期間でした。

占領期間中の特撮映画は?

1945年
『東京五人男』 東宝

1946年
『緑の故郷』 東宝

1946年
『浦島太郎の後裔』 東宝

1947年
『東宝千一夜 新東宝

1948年
『颱風圏の女』 松竹

1949年
『白髪鬼』 大映

1949年
『虹男』 大映

1949年
『幽霊列車』 大映

1949年
『エノケンのとび助冒険旅行』 新東宝

1949年
『透明人間現わる』 大映

1949年
『空気の無くなる日』 日本映画社

1951年
『鉄の爪』 大映

1951年
海賊船』 東宝

1951年
『ブンガワンソロ』 新東宝

1952年
『西遊記』 大映

ここまで、占領期間中↑

円谷英二氏は、終戦直後に公開された、『東京五人男』(東宝1945年)でも、特撮に関わっています。

映画に検閲はあった?

戦前は、「映画法」によって内務省による審査がありました。(1945年12月26日廃止)

日本が戦時中にやっていた検閲は国民が知っていましたが、GHQ占領期間中に行った検閲は国民には内容は知らされずに行われていたということです。

1949年10月までGHQの検閲は続きました。

円谷英二氏が特撮に関わっている『透明人間現わる 』(大映)は1949年9月25日公開です。

GHQの検閲は最後のほうでは、事後検閲だったそうです。

ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムは特撮映画に影響をあたえたか

あなたは、ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)を知っていますか?

ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムとは、日本の敗戦後、GHQ占領期に、日本人自身の戦争における罪悪感を植えつけるための計画のことです。

上に書いた検閲もそのひとつで、宣伝物、ラジオ番組や映画、後のテレビ局やその番組内容にも影響を与えているようです。

怪獣映画を観ていて、WGIPの影響を考えてみる

怪獣映画にWGIPの影響はあったのか?

特に昭和作品。

私はアラフィフになってしまいましたが、おそらく、もろに「日本が悪かったんだ教育」を受けた世代かもしれません。

そんな事に気付いたのはつい最近ですが、

昭和ゴジラを制作していた世代の人たちは、戦前と戦後で考え方を逆転せざるおえなかったのですから、私の世代とは、全然考えが違うのだろうと思います。

私なんかは、やっぱり、おぼろげに日本が悪くて負けたんだなと思ってました。

そんな、戦前生まれの人たちが作った、昭和のゴジラシリーズに、WGIPの影響はあったのか、

無理矢理、私の足りない頭で評論してみます。

『ゴジラ』は反核映画という言われ方をしますよね。

ゴジラ襲来で怪我をした人に、ガイガーカウンターを向けるシーンがありました。

核はいけない、というメッセージは確かに感じますが、

「自分たちが悪かったんだ」という感覚はこの映画からは感じられません。

出来て間もない自衛隊も活躍しています。

平和を願った映画ですが、どちらかといえば「アメリカよりも強い者にも勝つ」…違うかな。

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『ゴジラの逆襲』は元軍人が活躍

『ゴジラの逆襲』では、主人公の月岡と軍隊時代の仲間の自衛隊パイロットたちは、ソ連に占領されているはずの、千島列島まで戦闘機を飛ばします。

上陸用船艇も上陸してゴジラと戦います。

大阪が火の海になるシーンでは、「反戦」は、感じますが、WGIPの影響は感じられません。

むしろ、元日本軍の飛行機乗りが大活躍。

関連記事
千島列島は自衛隊がゴジラから守るのです

高度成長期のゴジラ

『キングコング対ゴジラ』『モスラ対ゴジラ』あたりになると、もはや『戦後』ではありません。

高度成長真っ只中。

『キングコング対ゴジラ』では、キングコングの権利を買い取っての制作です。

SF映画ではどうでしょう?

『地球防衛軍』『宇宙大戦争』。

日本は、すっかり世界の一員です。

「世界の一員」

こんな、発想がWGIPの洗脳の影響なのかもしれません。

今の若い人は、「最初から世界の一員だろが」と、なんの疑問も持たないかもしれません。

しかし、ギリギリ私ぐらいの年齢だと、

『宇宙大戦争』や『妖星ゴラス』で、日本が世界のリーダーっぽい状況になっていると、違和感がちょっと感じてしまいます。

このあいだまで、枢軸国側だったよな…。なんて。

いけないいけない。

ウルトラマンやライダーたちの技

昭和のウルトラシリーズや仮面ライダーを見ていると、GHQの政策は浸透しなかったんじゃないか?

とも思わされます。

いや、終戦前後の歴史を目隠ししてしまう事には成功したのかもしれない。

GHQ占領 期間中には、十三カ条の映画製作禁止条項がありました。

その中には残忍、暴力的な映像も禁止条項に入っています。

ウルトラマンたちの技のエゲツなさ

平成も終わりに近づいた現在、昭和のウルトラマンたちの、怪獣を倒す技を見直してみると…。

今なら問題になりそうなシーンばかりです。

エースなんかはエゲツない技ばかりです。(でも私はそんな昭和が好きです。)

ジョギンっ!

そして、科学特捜隊、ウルトラ警備隊、MAT. etc

結局、大切なものを守るためには戦わなければならないと教えています。

反戦って感じじゃないです。

とは言いつつも、放送していた局は、どちらかといえばリベラルな志向の局です。

相手が宇宙人なら戦争はありなのか?

なんだか、無茶苦茶な論評になってしまいました。

あまりハッキリ物事を言いにくいテーマを選んで失敗です。

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時代背景によって変化するゴジラ映画に込められたメッセージ

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