キングコング対ゴジラの感想。ツッコミながら楽しもう!

『キングコング対ゴジラ』

あなたもご覧になったことがあるでしょう。

最高に楽しい映画です。

それぞれいろんな感じ方があると思います。

私も、自分なりに「ここが面白かった!」という、感想を書いてみました。

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『キングコング対ゴジラ』は昭和の高度成長期の象徴のような映画

『キングコング対ゴジラ』の風景と『ゴジラ』の風景の違いに、まず驚かされます。

封切りの年は、

  • ゴジラが
    1954年(昭和29年)
  • キングコング対ゴジラ
    1962年(昭和37年)

です。

この8年の間の日本の復興ぶりをこの映画でまざまざと見せつけられる感じがします。

『ゴジラ』や『ゴジラの逆襲』には、まだ戦争の残り香が漂っています。

しかし『キングコング対ゴジラ』では、ほぼそれが感じられなくなっています。

無理矢理に探せば「疎開」という言葉が何か出てくるくらいです。

むしろ私なんかは、このあたりの時代に凄い憧れを持っています。

既に加山雄三さん主演の若大将シリーズが始まっています。

桑田佳祐さんが制作した映画『稲村ジェーン』は、たしか65年頃のお話です。

高度成長期真っ只中という雰囲気をまとった映画。

それが『キングコング対ゴジラ』。

という気がしました。

テレビ番組での海外取材は普通だったのか?

『世界脅威シリーズ』って番組、見てみたいですよね。

多胡部長は「つまらん」と言っていましたが。

なんか凄い興味をそそる番組です。

『巨大なる魔神』は、なんだか「川口浩の探検隊」みたいでちょっと眉唾物の番組が出来上がりそう。

だったのですが…物語りは、

多胡部長「大ヒットだよ!」

※観光旅行として一般人が海外に行けるようになったのは1964年の4月だそうです。

桜井たちは、取材だからファロ島に行けたわけですね。

団地の雰囲気が懐かしい

桜井が団地のアパートへ帰ってきます。

あそこって、誰と誰が住んでいるアパートなのでしょう。

桜井(高島忠夫)のセリフからすると、ふみ子(浜美枝)と藤田(佐原健二)は、まだ結婚していないような。

藤田「ちくしょう、恋人のほうがビフテキが大きいじゃないか」

で、そう思ったのですが。

北極海へ行った藤田を気にかけた桜井は、

「旦那のほうは大丈夫なのかい?」

と、ふみ子に語りかけています。

雰囲気を見るに、婚約中というのがいちばん当てはまりそうですね。

ていうか

  • 兄と妹で暮らしているのか、
  • 妹が同棲していて兄貴が居候しているのか?
  • 3人で暮らしているのか?

まあそんなことはどうでもいいのですが。

食卓に乗っているビフテキが、まさに「もはや戦後ではない」感覚なのですよね。

そして、藤田の勤めている会社の製品。

鋼よりも強く、絹糸よりもしなやかな、原子力時代の繊維。

物語りの後半で、キングコングを吊って空を運ぶ時に使われます。

前半の関係ない場面で、後半に登場する大事なモノをさりげなく紹介する。

という流れが随所に使われていて、関沢新一さんのシナリオにも、流石だなと感じます。

ファロラクトンや、コングを眠らせるための太鼓なども、上手く前後のストーリーを繋げています。

氷山から出てくるゴジラがカッコいい!

国連軍?のヘリコプター搭乗員がゴジラを発見する!

「イッツ ゴ・ジ・ラー!」
と聴こえます。

「Godzilla!(ゴッヅィラ)」じゃないんですね(笑)

本多猪四郎監督は、この外国人俳優さんに、どんな演出をしたのでしょう?

伝説のゴジラテーマ初登場!

ここで、俗に言う『ゴジラの恐怖』が始め流れます。

ダーン、ダッダッダ、ダッダーン。〜〜〜。

東宝プールに作られた氷山で両腕を動かすシーン。

オープンセットなので前後のシーンと、空気感が違いますが、それは仕方ない。

この伊福部昭音楽と重なって、ゴジラが北極基地を襲い、新聞パタパタのシーンまでの流れが感動的に素晴らしいと思います。

  • 八方に散っていく戦車。
  • ゴジラの尻尾が当たって壊れる管制塔?
  • グイッと向きを変える、両脇を開いたキンゴジのカッコよさ!
  • ドカーンドカーンと爆発する倉庫!

初めて『キングコング対ゴジラ』を観たのは30年以上前の『ゴジラ復活祭』でしたが、

このキンゴジ初登場のシーンを映画館の大きなスクリーンで観た時、めちゃめちゃ感激したのを憶えています。

※『キングコング対ゴジラ』の北米版は、伊福部昭氏の音楽じゃないみたいですね。(YouTubeで見ると)

このシーンなんて、伊福部昭サウンド以外に考えられません。

キングコング登場

そして、東宝版キングコングの登場です。

私は、元祖『キングコング』は1本通して観たことがありません。

東宝コングが、どの程度『キングコング』と共通項があるのか分かりません。

しかし、この東宝コングは、後のキングコング映画に、けっこう影響を与えているんじゃないかと感じています。

ファロ島のコングを封じ込めるための巨大な木の格子など、

1976年の『キングコング』にも影響を与えている気がします。

この映画でコングを自ら演じている、特殊メイクアーティストのリックベイカー氏は、

日本の怪獣映画のようにビルを破壊したりしたかったが、そんなシーンがなくて残念だった。

らしいです。(実業之日本社『円谷英二の映像世界』にそう書かれていた記憶があります。)

コングが2足歩行なのも、東宝コングの影響があるかもしれませんよね。

『キングコング:髑髏島の巨神』では、完全に東宝コングへのオマージュが入ってます。

タコさんとの闘いとか…。

そのタコ(大ダコ)ですが、『キングコング対ゴジラ』では、本物のタコを使って撮影しているのは有名な話です。

そしてコングと戦うタコは作り物。

コングが自ら頭にタコを乗せての一人芝居といったところでしょうか。
場面ごとにコングのギニョールも使われています。

キングコングの着ぐるみ役者さんに拍手

全編を通して関心させられるのが、キングコングの演技です。

いかにも類人猿ぽいと言うかコングっぽいというか。

ちょっとコミカルな演技も絶妙です。

スーツアクターは、広瀬正一さんで、東宝の大部屋の役者さんです。

スーツアクターと言うと、ゴジラ役者の中島春雄さんに注目が行きますが、広瀬さんのコングは名演だと思います。

熱海城での右手を最初に突き出すシーンなど、演技演技してなくてほんとにコングが存在するんじゃないかという感じです。

キングコングをどうやってイカダに乗せた?

素朴な疑問です。

赤い汁でコングを眠らせることはできた。

その後、どうやってコングをイカダに乗せたのでしょう。

キンゴジ版のコングは身長45メートルです。

猛スピードで大木を切り出してきてイカダを作ったのか?

たぶんコングが眠っているところで、なんらかの力でコングに寝返りをさせた。

そして、イカダの下に丸太を入れて、コロコロと海岸まで人が引っ張って行った。

あ、もしかしたら到着した船に牽引するためのクレーンなどの重機を乗せて来ていたのかも。

そんなことはいいとして、

海上のイカダの上で目を覚ましたキングコングが暴れてる様子が、実にリアルというか、巨大感が出ていて素晴らしい!

「ワイヤー切断!!」

って、ワイヤーってオノで切れんのか?!

でも面白いからいいんです。

ワンカットだけの大特撮が凄くて、さすが映画が娯楽いちばんだった時代

ゴジラ埋没作戦を敢行するために、ブルドーザーやらパワーショベルやらが、土砂を掘るミニュチュア特撮のシーンが一瞬だけ出てきます。

これを見て、

おい、この短いシーンだけのためにこれだけのミニチュアとセットを作ったのか!

という驚きを感じるとともに、円谷英二監督のこだわりに感激します。

これ、実物集めて撮ったほうが早いんじゃないか?

とも思いますし、

工作機械(ブルドーザーなど)の動くミニュチュア作るだけでも相当の時間がかかったんじゃないかと思うのです。

当時もモデリング会社があったのでしょうか?

中禅寺湖の闘いというけれど…

キングコングとゴジラは中禅寺湖で闘いますが、映画の中に中禅寺湖は出てこなかった気がするのでですが…。

いろは坂っぽい所で多胡社長一行が自衛隊に止められるシーンがありました。

「キングコングのスポンサー」って、

上陸してコングが破壊した建物などは、パシフィック製薬が賠償するのでしょうか?

運が悪すぎる、ふみ子

映画とは言えど、ふみ子さんは、巡り合わせが悪すぎる。

  • 汽車に乗ればゴジラと遭遇し、なぜか避難し損なって、「若えおなご」として1人取り残されたり、
  • 都内で電車(丸の内線?)に乗れば、またまた1人だけ偶然にキングコングに握られちゃったり…。

鉄道運が悪すぎます。

ていうか、こんなの宝くじで1等になるより確率低いだろ!

バカバカバカバカバカ!

鋼より強いのはいいとして、あの気球って凄くない?

キングコングを吊って空を運ぶことになりました。

鋼よりも強く、絹糸よりもしなやかな繊維を、あっという間に用意できるのもビックリしますが、

あの気球(ふうせん)は自衛隊が秘密裏に開発していたのでしょうか?!

キングコングは、資料によると体重2万500tということです。

あの程度の風船では空に浮かすことは無理ではないかと。

大好きな映画なのに、感想を書こうとすると、ツッコミ大会になるのは毎度のこと。

でもゴジラ映画が好きなんです。

こんな荒唐無稽なところが。

たたみかけるようにクライマックスが最高!

夜明けに富士山麓に到着したキングコング。

いくらコングでも、空中から地面に落とされたら、大怪我、下手したら死んじゃいます。

人間なら2階から落ちても終わりです。

キングコングをやっつけるなら、もっと上空まで高く運んでおっことしたらよかったのでは?

それじゃ、ゴジラだけが残って、両方共倒れにできないか。

富士山麓の傾斜に落ちたキングコングは、石の傾斜にもかかわらず、すべりながらゴジラに衝突します。

雪じゃないんだから、あんなに滑らんだろ!

大きな岩の凹みに隠れるコング。

ゴジラの尻尾に目を取られる!

そこで伊福部昭の音楽がグッドタイミングで流れ始める!

ここで、タコとの闘いでもやっていたコングの一人芝居!

ゴジラの尻尾で振り飛ばされる演出です!

しかし、コングが自分で後ろに飛んでるようぬ見えてしょうがない。

そんでもって、持ち上げるのも無理そうなデカい岩を蹴り上げるコング!

負けじとシッポで打ち返すゴジラ!

不思議な軌跡を描いて岩はコングの胸にぶつかる!

面白いコンテだ!

クライマックスまで、視聴者は目が釘付けです。

流れるような演出です。

ヘリコプターで人間たちがドラマに割り込んでくるタイミングも抜群!

シナリオも洒落てる

コングがローストチキンになるぞ!

ポパイがほうれん草食べたみたいにか?!

『キングコング対ゴジラ』で、主演俳優たちが、クライマックスで怪獣たちにいいところを持っていかれる。という怪獣プロレススタイルが確率されたようです。

それほどコングとキンゴジの闘いは興奮の連続です。

最初は劣勢だったキングコングが、雷を受けて帯電体質になり、ビリビリ攻撃で逆襲する!

クライマックスの人形劇が惜しい

円谷英二特技監督は、遠い未来に、ビデオやDVDや動画配信で、何回も繰り返し見られるようになるとは思わなかったのかもしれません。

山の向こうのゴジラとキングコングのギニョールによる人形劇が、何回も見ると、惜しい。惜しくてしょうがない。(笑)

まあ、ギニョールの「惜しい」シーンは初代『ゴジラ』から続く伝統のようなものですから、楽しく受け入れましょう。

キングコングがゴジラの口に気を押し込む!

怒ったゴジラが熱線をお見舞いする。

コングの一本背負い!

ゴジラの尻尾足払い!

そして熱海城を挟んでのケンカ!

これ、特撮がお粗末だったら、まとな映画になりません。

もう、素晴らしい!

ゴジラの着ぐるみのデザインも、オープンセットの熱海城も、渋い平田昭彦さんも相変わらず素晴らしい!

しかし、ほんと、

  • 破壊された日本の賠償責任で、パシフィック製薬は倒産。
  • 多胡宣伝部長は書類送検。

なんてことにこの後なったのでしょうか?

『キングコング対ゴジラ』個人的にはゴジラシリーズでトップ3に好きな映画です。

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