モスラ対ゴジラの感想。ノリに乗ってる円谷特撮!

今回は、モスラ対ゴジラの感想記事となります。

何十年に渡って、数えられないほど観ていますが、感想を書こうとして細かく見てみると、また違った発見があるものです。

私にとって『モスラ対ゴジラ』って、何度も観たくなる作品です。

なぜだろう。

物語りとしては至ってシンプルです。

2020年現在に、このシンプルなストーリーでは、企画段階ではねられてしまいそうなほどシンプルです。

しかし、そのシンプルなストーリーにも、細かな味付けをすることで、こんなにも面白い作品になる。

ただの怪獣プロレスに、いろんな意味を持たせて楽しい作品にしています。

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『モスラ対ゴジラ』にメッセージ性はあるのか?

『モスラ対ゴジラ』は、前作の『キングコング対ゴジラ』に続く「娯楽作品」の色が強い映画です。

とはいえ、元祖1954『ゴジラ』がスタートですから、受け手は、何らかのメッセージ性を無理矢理にでも探さなければ…。

ということで、

『モスラ対ゴジラ』のメッセージ性を上げてみる。

  • 悪魔の火焚いた人間への経綸。
  • 母と子の絆

あとは、

ええっと…

ん〜、出てこない。

結論。

この映画は、ほぼ、怪獣を見て驚き楽しむ映画だ!

メッセージ?

それは、横に置いときましょう。

とにかく怪獣のシーンが最高の映画です。

では、序盤から徐々に感想を述べていきます。

オープニングから最高!

もう、オープニングから最高です。

ピアノの不協和音から入る恐怖感。

歴代ゴジラ映画でも最高位を争うテーマ音楽だと思います。

円谷特撮の真骨頂『台風』

キャストやスタッフのテロップが出ている間の「台風の海」の特撮シーンの凄さに最初からやられます。

1954『ゴジラ』の時の嵐のシーンも素晴らしかったですが、この『モスラ対ゴジラ』のオープニングの、うねる海の臨場感たらないです。

東宝大プール万歳!巨大扇風機?万歳!

しかし、円谷英二監督は、

特撮での水のシーンだけは、ミニチュア特撮で、表現しきれないと言っていたと、テレビ番組『知ってるつもり』で聞いた記憶があります。

とはいえ、この台風の特撮は凄い。

可愛すぎる星百合子さん

あなたは思いませんか?

なんじゃこの可愛さは!!!

ゴジラシリーズの歴代かわいいの第1位に私は推したい!

星百合子さん。

和製ヘップバーンといってもいいかわいさです。

『モスラ対ゴジラ』に出演する前に、既に若大将シリーズの「すみちゃん」として出演されていますが、

若大将シリーズのヒット作?の

  • 『海の若大将』
  • 『エレキの若大将』

に出演されているのは、『モスラ対ゴジラ』出演の翌年のことです。

まさに、星百合子さんの「かわいい絶頂期」だったのかも知れません。

今、感想を書いていて、あれっと思ったのですが、

『モスラ対ゴジラ』の劇中で、星百合子さんの役名が、出てこないような気がしませんか?

Wikipediaによると、あの新米カメラマン女子は

「中西純子」というらしい。

しらんがな。

あれ、もしかして読み方は「じゅんこ」じゃなくて「すみこ」ってことか?!

ゴジラシリーズにも「すみちゃん」が登場してたんか!!!

放射能を帯びた物体は結局なに?

その中西純子さんが発見した、玉虫色の不思議な岩のような物体。

三浦博士(小泉博)も分からずじまい。

まあ、放射能を帯びているってことで、ゴジラの体から離れた皮膚か何かなのだろうということは分かるのですが。

正式にどの部位かは分かりません。

背ビレが欠けた?あのケロイド状の皮膚の1部?

それともゴジラの鼻くそなのか?

しかし、三浦博士は、卵の正体も分からんし、放射能の塊の正体も分からんし、役に立たない博士ですなぁ。

虫の卵を温めていいのか?

「なに!火を入れた?!」

毎朝新聞のキャップは驚きます。

でも、考えてみたら、この時すでに卵はモスラの卵だと分かっていたはず。

虫の卵は温めなくてもいいんじゃないか?

ああそうだ。

『モスラ』では、モスラの繭に熱線を浴びせて羽化が早まったというくだりがあったはず。

だからここは、昆虫の卵でも温めてOK!

それか、熊山が、モスラって何なのか知らなかった説。

ゴジラは卵を狙っていたのか?

「卵が危ないな!卵が危ないな!」

温室に入ったモスラの卵に、ジリジリとにじり寄っていくゴジラ!
伊福部ミュージックも最高潮に鬼気迫る感を出す。

ここの緊迫感、大好きです。

ここまでを見ていると、ゴジラは卵をなんとかしてやろうと思って近づいてきたのかと思いきや、

成虫モスラと戦い終わったあとは、卵のことは忘れちまったのか、別のところへ離れていきます。

そんなこと、疑問にも思わずに何十年も観ていたのですが、ゴジラよ、あんたモスラの卵に興味あったんじゃなかったのか?

ところで、最初は卵を食べる気だったのか?

それは誰にも分かりません。

ただ偶然、進路の先に卵があっただけなのか?

それは誰にも分かりません。

こんなところに「フラバラ」のテーマ音楽が

いっちゃんと純子と三浦博士が、謎の物体を発見した干拓地の草むらに戻ってきて、「この辺です。」とか言っているシーンで、

今まで気づかなかったのですがすが、『フランケンシュタイン対地底怪獣』のモチーフとなる音楽が使われていて、

おお、すでに「フラバラ」のテーマは「モスゴジ」でも使ってたんだなと、驚きました。

てか、伊福部さんは、モチーフを何度も使いますよね。怪獣映画以外でも似たメロディーを使っていたり。

ゴジラが名古屋地区を蹂躙

ゴジラが干拓地から土まみれで登場。

モスゴジの造形に惚れ惚れします。

頭の垂れ具合がいいんです。

ただ、ぐわーっと現れて、ぐわーっとこちらを向く。

ただそれだけのシーンなのに、ただただいい。

体を揺さぶって体の土を落とす仕草は、中島春雄さんのアイディアだそうです。

合成のゴジラが透けている

名古屋地区の住民が逃げ惑うシーンでは、実際の街の風景にゴジラが合成されています。

技術としては、ハーフミラー合成というらしいのですが、ゴジラの姿が空の青色に透き通って見えます。

この時代は、技術的にこれが限界だったのでしょう。

それでも、どうしても必要なカットだったのでしょうね。

そして、ここのカット割が、面白い。

逃げ惑う群衆の向こうの現れるゴジラが、チラッとだけカットインして、すぐに次のカットに代わる。

チラッ、チラッとゴジラが横から勿体ぶって映るのがなんともそそる演出に感じます。

そして、名古屋城のお堀に足を取られて城を破壊してしまうゴジラ。

これは、1発撮りで、失敗したのか?
こういう演出なのか?

でも、この「足を取られて建物を壊す」というくだりは、

84ゴジラで、ゴジラがマリオンを壊すシーンでもやっていましたよね。

確か平成vsゴジラでも…。『ゴジラvsキングギドラ』の札幌のシーンでしたっけ?豪快に倒れてました。

インファント島の骨が嘘くさい

モスラの力を借りに、インファント島についた一行。

原水爆実験の悲惨さを表現したのでしょう。

小美人たちに会いに行く道すがらには、謎の生きものの白骨が…。

思うに、たぶん。

海亀とクジラの骨ということなんでしょう。

恐竜の骨のわけないですもんね。

このシーンの奥行き感のない岩だけのセット。かなり即席な感じがします。

『空の大怪獣ラドン』なんかでは、怪獣が登場しない洞窟のセットなんかも、かなり力を入れていました。

それと比べると、いかにもセットという…。

宝田明の説得が素晴らしい

宝田明さんはゴジラシリーズに結構出演していて、主役級なのに、何故か影が薄い配役が多いと思いませんか?

主役のような脇役のような微妙な位置…。

そんな宝田明さん、『ゴジラ』の時と同じように、誰かを説得するシーンだけは活躍します。

人間不審なインファント島の人々に、熱く語りかけるいっちゃん(宝田明)。

いいぞ、いっちゃん!

成虫モスラ対ゴジラ!迫力満点!

「モスラよ、モスラが来たわ!」

成虫モスラ登場から、モスラ絶命までの特撮シーンは圧巻です。

あ、その前の、ゴジラが卵が入った温室に、ゆっくりと近づくシーンから入れなければ。

林越しに見える成虫モスラの旋回がカッコいい!

体を斜めにして、翼で突風を起こすところは、ちょっと無理がありますが、

デカいほうの成虫モスラの操演は凄い!

私が思うに、

あの、まさに生きているように見える操演のキモは、

モスラの頭の動きの絶妙さ

からくるように思えます。

あの頭は、リモコンでしょうか?それともワイヤーワークでしょうか?

A作戦地区は安上がりなセットに見えるが、何故か臨場感が凄い

陸海の自衛隊が迎え撃つのはA〜C作戦地区

この作戦地区、意外に安上がりな感じのセットです。

鉄塔の他には、だだっ広い土の荒野。

しかしめっちゃ広いセットですね!

実際にこの1960年代、愛知にこんな荒野が残っていたのでしょうか。

そして特撮シーンです。

戦闘機や戦車からの攻撃を受けるゴジラ!

円谷特撮には珍しく。というか、

ゴジラは、ただのだだっ広い何もないような土地で攻撃を受けます。

通常、この状態で着ぐるみに50mの巨大感を出すのはなかなか難しいと思うのですが、

下から煽って撮っているわけでもないのに、凄く巨大感が出ていてリアルです。

これには感動します。

円谷特撮では、遠近感を強調するために、画面の手前に、木や大きめの建物などを置いたり、遠くにある建物をより小さく作ったりしていますよね。(最近のウルトラマンZなどを観てもよく使われてる方法ですよね。)

このシーンでは、それらの画面づくりをせずに、どーんとゴジラ全身を見せて、それでも巨大感たっぷりです。

これは、ハイスピード撮影による重量感のせいでしょうか?

フィルムの劣化による粗さのせいでしょうか?(画質が粗くてドキュメンタリーフィルムに見えます。)

『ゴジラ対ヘドラ』や『ゴジラ対メガロ』でも、何もないような荒地で戦っていましたが、それとは何かが違います。

特殊帯電ネット攻撃なんかは、まさにリアル!

ネットをジャストタイミングで切り離す4機のヘリコプター!
ミニチュアでこのジャストタイミングの切り離しはお見事です。

クライマックスは幼虫モスラ対ゴジラ!

ゴジラは何を思ったか、岩島へと渡る!

小林先生がいじらしくかわいい

岩島の文教所には残された小林先生と児童たちが!

クライマックスは、このままだと単純な怪獣プロレスになってしまうところを、小林先生と児童たちを助けるストーリーを挟むことで、巧みに緊迫感を盛り上げます。

この小林先生と子供達を見て、私は「二十四の瞳」を連想させられました。

たぶん脚本も、そこからインスピレーションを受けたのではないかと感じました。

小林先生の「はい!」という返事に健気さを感じてしまいました。

モスラ幼虫の出来もグッド!

幼虫モスラはラジコンで動くタイプとギニョールが使われています。

それと、ゴジラの尻尾に喰らい付いて振り回されるタイプ。

これが、ギニョールと同一のものなのか分かりません。

ギニョールタイプは糸を吐くギミックが付いているので、別のものかもしれません。

電動で進む幼虫モスラの出来は歴代最高ではないでしょうか?

縦のクネクネが最高です。

千切れても頑張るちびっこモスラ

チビモスラの1匹は、ゴジラの尻尾に喰らい付いて振り回されます。

振り回されかたが激しすぎたのか、体の節目から千切れかかってます!!

何十年も前、この映画のビデオを専門学校の昼休みにみんなで観ていたら、

女子の1人が「ちぎれちゃってかわいそう〜」って言って馬鹿にしてたのを思い出しました。

何も喰わずに沢山の糸を吐けるモスラが凄かったりして…。

そう言えば、モスラ幼虫は、生まれてから何も食べていません。

それでいて、ゴジラをがんじがらめにするほどの量の糸を吐くというのがまたすごい!

モスラ幼虫の体の大きさと、吐いた糸の量を考えると。

(蛾には、卵の殻を食べながら生まれてくるのもいるそうです。モスラもそうだったのかも…)

で、

ゴジラが糸に巻かれる過程が、途中から、いきなりがんじがらめになる感じが早急で。

でも、このクライマックスも伊福部サウンドに乗って、迫力満点です。

そして、海に落ちるゴジラは、キンゴジの着ぐるみなんだそうな。

なんか、足がデカいと思った。

『モスラ対ゴジラ』総括

個人的意見ですが、歴代ゴジラ映画で、トップ5に入る面白さです。

特に特撮ファンには、人間ドラマを省いて、特撮シーンだけ編集して観ても、それだけでも楽しめます。

相変わらず、海に転落すると、戦いが終了するというパターン。

この後のゴジラでも何作かありますよね。

何度も見返すことの出来る映画です。

『モスラ対ゴジラ』98点!!

私はAmazonプライムビデオで何度も観ています。

※Amazonプライムビデオでは、東宝版ゴジラシリーズ見放題が終了してしまいました。残念です。

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